インフラ整備と公民連携PPPについて ――歴史的観点から――

 

今日、大規模インフラ事業における官民協力方式――PPP――という手法が注目されている。しかしその起源は古く、古代ギリシャ時代にまで遡ることができる。  歴史的な数多くの大規模事業の中には、官の力だけでは実現できなかったものがある。そのようなとき、官は民の協力を得ることによって事業を実現させてきた。しかし、民はただ国に利用され、協力させられたわけではない。むしろ互いにメリットがあったからこそ、今日に至るまでこの手法は有効であり続けているのである。事業規模が大きいにもかかわらず手元の資金が少ないという事情がある場合、この手法が実施された。このような観点から、歴史的に有名ないくつかの事例に注目してみたい。

 

例えば16世紀にクラポンヌが整備し、以後300年以上使われた運河は、当時前例のない大規模事業であり、莫大な資金が必要であった。それでは、彼はどうやって資金を集めたのか、どうして事業は成功したのか。

 

官民協力の観点は大規模インフラ整備だけとは限らない。少ない資金で大規模な事業を実施するということは、言いかえると、何らかの危機的状況に置かれた時こそ、よりPPPの重要性を確認することができるともいえる。歴史上においては、戦争が度々繰り返されてきたが、その際に国は戦争費用の不足分を民間から調達しなければならない。例えば14世紀、イングランドはフランスとの戦争のために羊毛業者から資金を調達したが、彼ら業者にとってのメリットは何だったのか。

 

日本においても、官民協力の歴史は既に江戸時代に見られた。当時、川や橋の整備のように、治水対策は軍事的にも経済的にも重要な政策であった。しかし、幕府は中期以降慢性的な財政難に悩まされていた。それにもかかわらず、幕府はどうして新田開発や河川の整備が可能だったのだろうか。また、阪急電鉄の創始者小林一三は、少ない資金しかなかったにもかかわらず、どうして路線開業にこぎつけ、鉄道事業を成功に乗せることができたのか。

 

このような事例が成功するための鍵は、その事業が魅力的であるかどうかを見極められるかにかかっていると言って良い。今日、我が国では公共事業の在り方が問われているが、本当に価値あるインフラ整備であるかどうかを精査できなければ、PPPの成功はあり得ない。歴史上に残る多くの事例を紹介しながら、大規模インフラ整備の新しい事業手法としてのPPPの本質と意義を明らかにする。

 

現在弊社では、2009年夏の出版に向けて、自社研究成果をまとめているところである。

 

文責:コプフ、竹内

 

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